サカイナオミさん
美容ライター。美容室勤務、美容ジャーナリスト齋藤薫氏のアシスタントを経て、美容ライターとして独立。「25ans」、「VOGUE GIRL」、「WWDJAPAN」、「fashionsnap.com」など、女性誌やWEB、百貨店媒体、広告、書籍などさまざまなメディアで執筆中。
Instagram:@neonaomineco5
SAKAI:SHUGYOKUのラインナップって、世の中の「美容の正解」から潔いくらい外れていますよね。特に「化粧水がない」ことに驚く方が多いのでは?
TAMAKO:「奇をてらってるの?」なんて、何度言われたことか。「ふざけてるの?」と詰められたことも(笑)。
SAKAI:どこの誰が言ったか気になります(笑)。
TAMAKO:ブランド立ち上げ当時は、今よりもっと“化粧品はこうあるべき”という固定観念が強かった気がするから、「このブランド大丈夫?」と不安がられるのは仕方のないことだったのかも。
SAKAI:化粧品業界って保守的ですもんね。先進性を求めておきながら、妙に固執する部分もあったり、時々矛盾を感じます。
TAMAKO:そう、みなさん「基本のステップを踏まなきゃ」って思いすぎなんですよね。私はセラピストとして、現場で5万人もの多様な肌を見て触れてきましたが、メーカー側はユーザーが実際に化粧品をどのように使ってケアをしているのか、ちゃんと捉えきれていないように思うんです。
SAKAI:と、言うと?
TAMAKO:説明書どおりに鏡の前でプロのように完璧に洗顔や保湿ができる人なんて、ほんのひと握り。大抵は拭き残しがあったり、コットンで肌を叩きすぎたりして、自らトラブルを招いています。だったら、クレンジングの段階で「清肌(拭き取り)」まで完璧に終わる設計にすればいい。そうすれば、次に使うブースターを肌が勝手に飲み込んでくれるから、化粧水をスキップできます。それが、多忙な現代人がいつでもエステ帰りのような肌をキープするためのエイジングケア最短ルートなんです。
SAKAI:なるほど。「売るため」の構成ではなく、現代人のリアルな生活に寄り添った結果のラインナップなんですね。
TAMAKO:流行りに媚びてアイテムを増やすより、必要最小限のアイテムでエステ帰りのような肌を呼び覚ます。それが、使う人の肌を想う私の流儀であり、SHUGYOKUというブランドの真髄なんです。
SAKAI:躊躇なく言わせてもらいますけど、昔からそんな「変人的な視点」をお持ちだったのですか? 「私はこう!」という信念の強さは、国際色豊かな生い立ちも影響しているのでしょうか?
TAMAKO:幼少期を欧米含め海外で過ごし、日本に戻ってから「変わった子」と言われるような子供でした。日本だけではなく、ハーフの友人や海外でも「あなたがいちばん外国人だ」と言われるぐらい(笑)。小学校低学年くらいの時、地元の中学生男子5人くらいが、自宅の庭に勝手に入り込み遊んでいるのを見ては、『うちの庭に入るな!』と立ち向かっていくような子でしたから。3歳上の兄が友人と石投げをして遊んでいる時なんかは、兄から『危ないからどけ!』と言われて、なぜか「ここで逃げたら負けだ」という良くわからない理論で、投げられた石を顔面で受け止めて怪我を負ったり……。いったい何と戦っていたのか? 今思うと不思議なくらい変わり者だったと思います。女子の前では優しく仲良く。だけど、男子の前だと必ず勝ちたい(特に年上男子には負けたくない)という謎の闘争精神を持っていました(笑)。
SAKAI:その異様な負けん気が、今のプロダクト開発のエネルギー源なのかもしれませんね(笑)。
TAMAKO:確かに(笑)。哲学書を読み耽り、つねに概念を疑う癖は、ジャーナリストだった父の影響かもしれません。今の世の中、本当に不思議なことだらけ。みんな「増やすこと」にばかり目を向けすぎて、多くの物に依存しすぎていると感じます。化粧品業界も、新作のサイクルが早すぎて「消費者を飽きさせないこと」に躍起になりすぎてる。アイテムを増やして「囲い込む」より、本質的な一品で「魅了」したい。SHUGYOKUは「LESS IS MORE」の精神で、本質的な豊かさにフォーカスしたいんです。
SAKAI:なるほど。業界に対しても、かなり熱い想い(喝!)がありそうですね。
TAMAKO:メディアでの権威付けや、成分の数値競争に躍起になりすぎ、とも思います。「成分表さえ読めれば中身がわかる」と思っている方も多いけれど、製造の釜の中まで見て、原料の真偽まで見極めている人がどれだけいるでしょうか。私は成分オタクであり、製造の現場に足を運んで、この目で見て、触れて納得したものしか世に出さないので、自分の作るものには絶対の自信がありますし、逃げも隠れもしません。自分の誇りに懸けて、嘘のないものを作りたい。だからこそ、表面的な美辞麗句で飾るだけのブランドには「本当に肌を触ったことがあるの?」と問いたくなることはありますね(笑)。
SAKAI:この業界で、そのスタンスを15年貫くなんて。お察しします(笑)。
TAMAKO:本当にいろいろありました(笑)。立ち上げ当初はバイヤーに「売れない」と怒鳴られ、著名なライターには「目立とうとしているだけ」と鼻で笑われました。でも、世間の常識より自分の流儀を信じ抜いた結果、今は研究職や医療従事者の方々が深く信頼してくださっています。ブランド品の大量廃棄が問題になる今の時代、大切なのは「適正な価値」と「継続できるラグジュアリー」です。私はこれからも、魂を込めた製品で、賢明なユーザーの皆さんを魅了し続けたい。それだけなんです。
あわせて読みたい
異端の流儀:TAMAKOの脳内宇宙
SHUGYOKUの15年間の裏側にライターサカイ氏が切り込んでみた。サカイ氏と開発者TAMAKOの対談コラム開始!
美容ジャーナリスト 齋藤 薫 氏と、美容ライター サカイナオミ 氏のお二人より、SHUGYOKU が2026年に15周年を迎えるにあたり寄稿をいただきました。ぜひご覧ください。
SHUGYOKU待望の新製品『オリビオティカル シェイピング フォーミュラ』発売に寄せて、以前にもコラムをご寄稿くださった美容ジャーナリストの齋藤薫さんと、そのお弟子さんでありSHUGYOKUユーザーの美容ライター・サカイナオミさんとの師弟対談が実現! おふたりのご愛用アイテムや注目ポイント、そしてこれからのSHUGYOKUに期待することまで、たっぷり語っていただきました。