齋藤 薫さん
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト、エッセイストへ。女性誌で多数の連載を抱えるほか、美容記事の企画や化粧品の広告制作、開発・アドバイザーなど幅広く活躍。多くの悩める女性たちの背中を押してくれるような、斬れ味鋭くも温かい言葉で綴られた著書も大人気。最新刊は『“一生美人”力 セカンドステージ 63の気づき』(朝日新聞出版)
サカイナオミさん
美容ライター。美容室勤務、美容ジャーナリスト齋藤薫氏のアシスタントを経て、美容ライターとして独立。「25ans」、「VOGUE GIRL」、「WWDJAPAN」、「fashionsnap.com」など、女性誌やWEB、百貨店媒体、広告、書籍などさまざまなメディアで執筆中。
Instagram:@neonaomineco5
サカイさん:今は毎日のように新たなブランドが生まれて、この仕事をしていても知らないものも本当にたくさん……。その分、いつの間にか消えていくブランドも少なくなく、生み出すことよりも長く続けることの方が大変なんだなあと感じています。そんな中で、SHUGYOKUは12年の間に着実にファンを増やし続けていてすごいなぁと今更ながら思うのですが、SHUGYOKUが小さいながらも10年以上続けてこられた理由はどんなところにあると思われますか?
齋藤さん:これはもうひとえに、開発者のTAMAKOさんの情熱と経験、そして感性の高さに尽きると思います。そもそも、長く残るものは絶対にオリジナル。その後に類似品がたくさん出たとしても、不思議なくらいにオリジナルだけ残っていく……それはやはり本質的にレベルが違う上に、その商品にかけた思いの深さが類似品とは全く違うからではないかしら。そういうものを使い手の方も微妙に感じ取るのが、化粧品だと思うの。
サカイさん:以前、自社でコスメも作っているドクターへの取材で、「よそが莫大な資金を注ぎ込み途方もない時間をかけて一生懸命研究して生み出した成果やアイデアを、後から『それいいね』といって借りパクするようなブランドは信用できない」とおっしゃっていたのですが、そういうことですよね(笑)。それをやってしまえば、トレンドに乗ったそれっぽいものは作れても、根っこにオリジナリティがないから飽きられて終わってしまうという……。
齋藤さん:私は昔から、それこそ常にオリジナルだけを選びたいと思ってきたの。「この世にないものを作りたい」というメーカーだけが持っている発想力と開発力、情熱……そういうものをこそ見分けて選びたい。それから、机上の空論ではなく、ちゃんと肌を使って臨床研究から作られたものかどうかも重要。そういうものでないと、ズバリちゃんと効かないから。
サカイさん:確かに、試験管やシャーレーの中での試験結果よりも、人の肌を使った生体試験結果の方が遥かに信憑性が高いから、どうしても手応えや安心感に差は出てきてしまいますよね。オリジナリティがあって、エビデンスもきちんとあるものは、本能で手に取りたくなるから、数多あるコスメの中でも埋もれないですね。
齋藤さん:自社の研究所をちゃんと持っていることも決め手の1つになると思うんだけど、稀にTAMAKOさんのような存在がいらっしゃるから、会社の大きさではないと言うこともまた事実。いずれにせよ、結果としてその商品が良いか悪いか以前に、それが作られた背景を見て化粧品を選ぶことが大事よね。
サカイさん:本当にそうですね。